【将棋】タイトルホルダーが享受出来るもの(ソフト不正疑惑騒動と合わせて考えたい)

4月から2017年度の将棋がスタートしました。名人戦を皮切りに、年間通して棋士がタイトルを争奪する激動の一年の始まりです。2016年10月に起こったスマホ不正使用疑惑(というか冤罪事件)が契機になり、将棋界は過渡期の最中であると言っても過言ではありません。事の発端云々は他の記事に詳細を委ねるとして、タイトル挑戦者が変更されるという前代未聞の事態になりました。

棋士はタイトルを目指して将棋を指していると言えます。何故でしょうか?賞金・名誉もそうですが、タイトル保持者が得られる恩恵は様々なものがあります。今日は将棋界のタイトルホルダーの肩書の「重み(価値)」について筆を持とうかと思います。

将棋界のタイトル

棋戦とは

現在、将棋界には「棋戦」という争奪戦があり、「タイトル戦」と「一般棋戦」に分類されます。日本将棋連盟は明確な定義や線引きを公表していませんが、タイトル戦を重要視しています。2017年現在、将棋界のタイトル戦は以下の7棋戦です。

  • 竜王戦
  • 名人戦
  • 王位戦
  • 王座戦
  • 棋王戦
  • 王将戦
  • 棋聖戦

 また、一般棋戦は以下の9棋戦です。

  • 叡王戦
  • 朝日杯将棋オープン戦
  • 銀河戦
  • NHK杯
  • 将棋日本シリーズ
  • 新人王戦
  • 上州YAMADAチャレンジ杯
  • 加古川青流戦
  • 電王戦(※ただし、将棋ソフトのみ参加可能)

合計、上記16棋戦がありますが、電王戦は将棋ソフトのみ参加可能なので、棋士が参加出来るのは15棋戦です。

タイトル戦と一般棋戦の違い

賞金額など色々と違いがありますが、本記事の主旨はタイトルホルダーの肩書についてスポットを当ててるので、本項では肩書のみに絞ります。

タイトル戦で優勝すると、肩書を名乗ることが出来ます。例えば、竜王戦の優勝者は1年間、どの棋戦に参戦しても「○○竜王」という肩書で呼称されます。また、複数タイトルを保有している場合、「○○二冠」「○○三冠」などと呼称されますが、竜王か名人のどちらか保有している場合は保有タイトル数に関わらず「○○竜王」「○○名人」と呼称されます。竜王と名人の両方を保有している場合は、保持タイトル数に関わらず、「○○竜王・名人」と呼称されます。

一般棋戦の場合は、その棋戦のみで肩書が有効です。但し、一般棋戦の場合、称号が与えられる棋戦は叡王戦(叡王)、銀河戦(銀河)、NHK杯(NHK杯選手権者)、将棋日本シリーズ(JT杯覇者)、新人王戦(将棋新人王)、加古川清流戦(清流)です。

タイトルホルダーが享受できるメリット

タイトルホルダーになると色々なメリットがあります。賞金を獲得できるというメリットは目に見えたものですが、その他でも色々と恩恵が発生します。

他棋戦のシード権

タイトルホルダーは保有タイトル戦以外でシード権を享受出来ます。各棋戦でのシードは以下です。

  • 王座戦(挑戦者決定トーナメントから参加可能)
  • 棋王戦(挑戦者決定トーナメントから参加可能
  • 王将戦(二次予選から参加可能
  • 棋聖戦(挑戦者決定トーナメントから参加可能
  • 朝日杯将棋オープン戦(本戦から参加可能
  • 銀河戦(ブロック戦から参戦可能)
  • NHK杯(本戦から参戦可能)

タイトルを保持することによって、シード権がこれだけ享受出来ると、他棋戦での優勝の可能性もかなり期待出来ます。王位戦だけはタイトルホルダーのシード権は存在しません。そのため、棋士はタイトル奪取に向けて必死になって将棋を指しています。

対局以外でのメリット

日本将棋連盟がHPに堂々と記載しています。

www.shogi.or.jp

タイトルホルダーになると将棋界を代表する顔として、イベントへの登場が増えたり、様々なメディアの取材を受けたりします。それが彼らの稼ぎにもつながっているのです。

(上記URLより引用)

タイトルを保持するだけで、将棋界内外から仕事のオファーが来ます。例えば、棋士で年間最多勝だとしてもタイトルを取れなければ肩書は段位のみです。しかし、タイトル戦で優勝してタイトルを獲得すると、肩書を名乗れるのでブランドが付きます。仕事をオファーする側に立ってみると、段位のみの肩書の棋士よりも「○○竜王」や「○○名人」にオファーした方がブランド力が違うので、各メディアでの露出機会も増えます。

将棋に興味を持って日が浅い人であれば、ネームバリューのあるタイトルホルダーの方が目にすることが多くなるので、名前を覚えて貰う可能性が高いです。将棋を始めて間もない人であれば、タイトルホルダーを中心に興味を持つのではないのでしょうか。

私自身、将棋を覚えたてのころ、棋書を買いに書店に行くと、タイトル戦関連の棋書やタイトルホルダーの棋書が多くを占めてました。そこからタイトル戦の仕組みや歴史、タイトルホルダー本人のことを調べるようになりました。やはり、タイトルというものの影響力やネームバリューのパワーと言うものは大きいです。少なからず、私と同じ経験をした人がいると思います。

ソフト不正疑惑騒動とタイトルの重み

タイトルを奪取したい、防衛したい

タイトルを獲得するのはとても難しいことです。何度も勝ち抜いて挑戦まで到達して、タイトルホルダーと番勝負を行い勝ち越すということは、とても厳しいものなので、必死になって獲得を目指します。また、タイトルホルダーも防衛に必死です。賞金や名誉もそうですが、肩書のブランドによる仕事のオファーにも影響します。如何なる手段を使ってでも防衛したいと思っているはずです。もちろん盤上で

ソフト不正疑惑騒動で挑戦者が失ったもの

今回、ソフト不正疑惑粗動で挑戦者はタイトル賞金と棋士としての名誉の他に失ったものは大きいです。他棋戦のシードとタイトルホルダーの仕事のオファーが大きいと考えます。タイトルホルダーは将棋の取材以外にもオファーが来やすいです。趣味や社会慈善事業、コラムやテレビ出演など色々な分野での可能性が絶たれたと言っても過言では無いと考えられます。それくらい、タイトルと言うものは棋士にとって重みがあります。

補償というものは可能なのか

恐らく、不可能な認識です。時間を戻すことは出来ません。日本将棋連盟の対応が失策であるとすれば、日本将棋連盟はシード権の確保は補償すべきでしょうが、各棋戦も開始してしまっているので、それも叶わない状態まで進んでしまっています。落としどころが決まってない状態で時間だけが過ぎていき、メディアにリークした人や事を大きくした人たちからの見解も無い状態なので、あとは当事者間が法廷で争うという事しか道は残されていないかもしれません。